イメージ:第200回審査 窪田新さんの審査

ザ・チョイスの記念すべき第200回は、アートディレクター窪田新さんの審査。応募者数は250人、作品数は800点。

30度を超える暑い真夏の昼下がり、時間通りに到着された窪田さん。

Tシャツにニット帽といういでたちで、聞けば大のサッカー好きでEUROフランス大会を観に行き、Tシャツも現地で購入したそうです。

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一通り審査の流れをご説明して、審査開始です。

「アリ(残す)とナシ(残さない)、それに保留くらいに分ける形でいきましょうか」と一言。

作品を見るペースは数秒から10秒程度で、早からず遅からず、確実に見ていく印象です。

最初のうちはしばらく「ナシ」が続き、10人以上過ぎたところでようやく保留が1名出たものの、またしばらくナシが続き「かなり厳しめのジャッジかな」というところで「これ残そうかな」と最初のアリが出ました。

そこからはポツポツと作品が残り始めますが、平均よりも絞り込んでいる印象です。

作品を見るペースは変わらずコンスタントですが、時折判断に迷うと作品の裏(応募票のコピー)を確認したりします。

審査が進んでいくにつれて残る作品が少しずつ多くなり、コメントも増えてきます。

「この人はチョイスに出す必要あるのかなぁ?」「う〜ん、(見る側が)試されているような気がする」 1時間ほどですべての作品を見終えました。

残したのは、「保留」扱いの分も含めて全体の2割程度でしょうか。

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イラストレーターに発注するのを制作側が不安がっている

飲み物が届いてしばし休憩。

一通り作品を見終えた感想を伺います。 こんなに短時間で判断しちゃっていいのかなとも思いましたが、思ったより迷わずにジャッジできました。

色の響き合いの関係かもしれませんが、絵具で描いたものよりパステルとかの方がきれいに見えましたね」

何か作品の傾向みたいなものは感じられたのかという質問には、「広告の仕事では印刷効果を意識した色使いになるのですが、広告ではあまり使わない色使いの作品も多くて、そういう作品には新鮮味を感じやすかったですね」との答え。

もう少し具体的に聞いてみると、「僕は比較的イラストレーションを使える仕事が多い方なのですが、どちらかといえばイメージを広げるというよりは、パッと目に入るアイコン的な絵を使うことが多いので、ペールトーン(淡い色調)というのは、あまり使ってこなかったんですね。今日はそういう作品が割とよく目に留まって、面白く感じました」

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作品の持ち込みについてもお聞きしました。

カメラマンほど多くはないものの、売り込みの連絡は結構来るそうで、ウェブサイトなどで事前に作品を確認して興味が持てそうな人とは会っているとのこと。

イラストレーションを使った広告は一時よりは増えて来たものの、全体としてはまだまだ少ない印象です。

これについては、「写真の場合は撮影に立ち会ってその場で指示を出すことができるのですが、イラストレーションは発注したら上がり待ちで、基本的に立会いが出来ないじゃないですか。一方にクライアントがいて、そのオーダーを踏まえて上がってきたものにまた注文を出して、よりよくしていかなくてはいけない。そのやり取りについて来れない人がいるのではないか、という不安を感じている人が多いと思います」

そのあたり、窪田さんはどう対処されているのでしょう。

「僕はイラストレーターの方とは一度会ってお話をして、お願いできそうか判断してから正式に依頼するようにしています。 描くスキルだけでなく、その方の人となりも大切だと思っています。 “いつもの作風のままにしないで”という頼み方をすることもあります。失礼な物言いかもしれないですが、“この前のああいう感じで”的な発注はしたくなくて、それではただその人の作品が広告になったというだけでつまらないじゃないですか。 ビルドアップしながら一緒に作っていこうという姿勢が重要で、“これしか出来ない”みたいに閉じられてしまうと正直難しいですね」

オーダーをもらうことで研磨されていく関係

だんだん深い内容になってきました。さらにお話が続きます。

「 広告を“言うことを聞かなきゃいけない仕事”とネガティブに捉える人もいますが、オーダーが入ることで自分が思いつかないことが出来るとも言えます。僕自身もそうですが、そうやってオーダーをもらうことで互いに研磨されていく部分も大きいと思います。以前、100% ORANGEさんにミネラルウォーターのラベルのイラストレーションをお願いしたのですが、細長い形で入れなるべき要素も多い難しい仕事でした。そこで、こちらで事前に設計図を作り、それに沿って描いてもらったのですが、仕上がりが全然違うんです。鳥1羽描くのでもこちらの想像を超えるクオリティでした。イラストレーターに求めているのはそのような自分には出来ないスペシャルな表現力で、それをどう引き出すかが僕の役割です」

窪田さんがイラストレーションを探す時の留意点は、最近の広告はいろいろなサイズに展開されるので「大きくしても縮小しても強度があること」だそう。

持ち込み以外にも、ZINEを見ることもあるし、オーソドックスなところでは雑誌を見て気になるイラストを携帯で撮影したり、切り抜いてスクラップすることもあるそうです。

「前々から目をつけていたけど、(他で)使われちゃったなーという人もいますね」

きっちり絞り込んで慎重にチョイス

2次審査へ。

1次と同じように一人ずつ作品を並べて見ていきます。 まずは「アリ」と判断した作品から。

1回目よりはやや時間をかけて丁寧に見て、次に残す残さないを判断していきます。

20分ほどで見終えて、残したのは全体の1/3程度でしょうか。 次に「保留」とした作品を見ます。

こちらは数分で見終えて2名分を残しました。 ここから最終選考として、すべてを机に並べます。

窪田さんは入選とする作品から選んでいくことにして、一人分ずつ作品を手に取り、じっくり吟味していきます。

5人くらいまでは割とスムーズに決まりましたが、6人目あたりから時間がかかり始め、20分ほどかけて9名まで選びましたが、最後の一人がなかなか決まりません。

しばし熟考。2名まで候補を絞り込んで、机の片側にその2名の作品とこれまでに選んだ9名分とを寄せて、さらに10分近く検討を重ね、最終候補2人のうち片方を外して、入選者10名が決定しました。

そして準入選のセレクトへ。当然、最後まで入選を争った作品は最初に準入選に決定。

3名までは簡単に決まりましたが、後半はやはり難航。 7名まで絞って作品を見比べ、最後は心を鬼にして1名を外し、準入選6名も確定しました。

「ずっと見ていると、どれに絞ったらいいかわからなくなってきますね」

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審査結果は以下のとおりです。

入選

●山田貴美子(埼玉県)●小川清(東京都)●kanacodoggy(静岡県)

●本田アヤノ(京都府)●中上あゆみ(神奈川県)●南景太(岐阜県)

●立山柚子(神奈川県)●カワシマナオト(東京都)●波田佳子(東京都)

●ミッキーオーソラン(栃木県)

準入選▼

●竹浪音羽(東京都)●青木純一(北海道)●本図量子(東京都)

●小山萌江(埼玉県)●牧田 純(東京都)●ササキエイコ(東京都)

最終選考まで残った人々▼

浅野みどり(埼玉県)仲村直(東京都)山口あき、あいざわりさ子(神奈川県)三宅崇之(愛知県)大沢浩一(福岡県)

入選・準入選の入れ替え等はなく、最後に入選作品の絞り込み。

点数が増えると掲載サイズが小さくなるので誌面での見栄えも考慮して、なるべく抑える方向で絞り込み作業を行い、17時ちょっと前に審査が終了しました。 お疲れさまでした!

入選作品と窪田新さんの審査評は、10月18日発売のイラストレーションNo.212に掲載いたします。お楽しみに!


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