2011.11.17

竹達彩奈さんロングインタビューを公開

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フォトテクニック デジタル2011年12月号の表紙モデルは声優の竹達彩奈さん。
現在放映中のアニメ「たまゆら~hitotose~」で主人公・沢渡 楓(さわたり ふう)を演じている。

その楓ちゃんに因んで、楓ちゃんがいつも持ち歩いているクラシックカメラ「ローライ35S」を手に、楓ちゃんが中学時代を過ごした町・神奈川県横須賀市の汐入周辺でロケを行った。
〈インタビュー・編集部〉

-竹達さんから見て、楓ちゃんはどんな子?

彩奈「楓ちゃんは“たまゆら(写真に写り込む光の玉)”のような女の子だなあって。ふわふわしてて、あったかくて、でもどこか不安定な感じの女の子をイメージしてます。写真を撮るのは、私自身も大好きなことなので、そこが一番、共感できるところです。オーディションを受けた時は、監督から『写真撮るの好きですか?』とか、『“たまゆら”を撮ったことがありますか?』って訊かれて。私、“たまゆら”、撮れたことがあるので…」

-そうなんだ?

彩奈「以前、横須賀の芸術劇場でイベントをやった時も、リハーサルの風景とか撮っているうちに“たまゆら”が撮れたんですよ、デジタル一眼で。それまでは監督に見せても『いや、これはちょっと』とか言われてたんですけど、とうとう監督を納得させられる一枚が撮れて。この作品に関わってからは、“たまゆら”が撮れた時の嬉しさが倍増して、今は写真を撮る時は『“たまゆら”撮れないかなあ』って思ったりもしてて。
だから、楓ちゃんの“たまゆらの写った写真を撮りたい”っていう気持ちもわかるようになったし、(4人の女の子が)それぞれ将来の夢を描いて、それをかなえようとがんばってる姿だとか、高校生の頃にありがちな微妙に不安定な感じとか、『自分にもあったなあ』って考えたりして、楓ちゃんを通じて第2の青春を歩んでいるような(笑)。すごく初々しい気持ちになります」

-竹達さんというと、これまでの出演作ではわりと気の強いキャラクターを演じることが多かったように思うんだけど?

彩奈「ちょっと“Sっ気の強いキャラ”を演じることが多いですね。普通の女の子とかもやってますが、楓ちゃんみたいな、ほんわりしたキャラは初めてなので、気が緩むと地が出そうで(笑)。なんか、ふわわわ~っていう場面でも、『うっ、すげえ~』みたいな気持ちで言っちゃいそうになったりして(笑)」

-竹達さん自身はどんなキャラなの?

彩奈「“元気系”ですね。日頃はうるさいです。私、人見知りなんですけど」

-どこが!?

彩奈「いや、ほんと人見知りなんですよ! 仲良くなるまではおとなしかったりするんですよ! 仲のいい人がいると、元気というか、すぐに地が出てくるんですけど、知らない人ばっかりのところだと、借りてきた猫のような状況になり…おとなしくなります。(撮影前日の)打ち合わせの時は…最初、猫をかぶっていました(爆)。打ち合わせの場にケーキが出てきて、テンション上がりましたね(笑)」

-「たまゆら~hitotose~」の楓ちゃんはどちらかというと“元気印”という子じゃないよね?

彩奈「OVAの初めての収録の時、佐藤順一監督が『等身大の女子高生の可愛さが欲しいから、あまり作らないでナチュラルな可愛さで』とおっしゃられて、あまり無理しなくていいのかなと考えていたら、今の楓ちゃんが自然と形成されてきたという感じです」

-セリフは、本番前に結構、練習するの?

彩奈「例えば、近くの人に呼びかけるのと、遠くの人に呼びかけるのとでは違うので、そういう距離感だったりとか、『この子の気持ちでは今のはちょっと強かったかな』とか、いろいろ考えて音を決めるということはあります。
でも、あまり作り込みすぎると、現場で『もっとこうしてください』と言われた時に直せなくなっちゃうので、あまり作り込みすぎないようにしています。それに、お芝居はみんなで作っていくものなので、みんなで掛け合いをしながら、登場人物の性格も作られていくって思っているので」

★セリフの収録は、下絵(鉛筆で描いたラフスケッチ)をフィルム化したものを観ながら行い、後で完成版の絵がつけられる。そのため、役者はアフレコ時点では、想像力でカバーしながら演技をする。

彩奈「アフレコの時は“ボールド”という、自分がセリフを言う時に、タイミングと長さを示す合図が出るんですが…」

-それはセリフが出るの?

彩奈「キャラクターの名前が出るんです。名前がぱっと出てきて、そこでセリフを言わなくちゃいけないんですけど」

-それは難しそう。

彩奈「慣れだと思います。私も最初、ぜんぜんできなくて、『パクる』って言うんですけど、早上がりしちゃったり(必要な尺より先にセリフを言い終えてしまう)とか」

-間に合わないというのもある?

彩奈「楓ちゃんの場合は、ほわほわした子なので、ゆっくりしすぎて、どんどん遅れちゃったりとかもありました(笑)」

-セリフの最後が「(早口で)なので」とか?(笑)

彩奈「(笑)それは…ないですけどー(笑)。でも、私はせっかちで、早くしゃべるので、地が出て早く上がっちゃったりとか、逆に意識しすぎて押しちゃったりとか(絵のパクが終わっても、まだセリフをしゃべっていること)っていうのもありますね」

-アフレコの時は下絵を観ながらということだけど、完成版はいつ、どこで観るの?

彩奈「オンエアの時に。それか録画しておいて」

-「たまゆら」の完成版を観た時、どう思った?

彩奈「風景がすごくキレイだなあって」

-楓ちゃんが引っ越しした先、広島県の竹原にはイベントなどで何度か訪れてるんでしょ?

彩奈「もう“たまゆらの世界”そのままという感じです。日本にこんな場所があったんだなあって。私、小さい頃からそんなに旅行とかも行ってないので」

-なにしろ、砂浜に行ったことがないんだもんね?

彩奈「そうです。埼玉出身なんで、なかなか海とかにも行けなかったんです。だから、竹原に初めて行った時は、海があって島があって、すごい! って思いました。町の人も優しくてあったかくて、アニメ公式サイトのコンテンツ『レッツフォトなので!』でロケに行った時も、皆さん、とっても親切で」

-一方、楓ちゃんが中学時代を過ごした横須賀の方は?

彩奈「最近、毎月、横須賀に行ってます。でも、今日みたいにアニメに登場するロケ地を訪れることはなかったので、本当にあるんだ!っていう、なんとも言えない、感動というか、不思議な気持ちになって、楓ちゃんと一つになれたような感覚(笑)になりましたけど。(昼食の)カレーおいしかったですし」

-さて、写真を撮るのが好きということだけど、いつ頃から?

彩奈「初めて携帯を買ってもらった時からです。中学一年生くらいですね。でも、私、遠足の度に使い捨てカメラで撮ってたので、昔から写真を撮るのが好きなんです」

-小さい頃は何を撮ってたの?

彩奈「ミミズとか…(爆)。ミミズとか、虫とか、友だちとか、家族とか」

-友だちとか家族の前に、ミミズとか虫が来るのね?(笑)

彩奈「ミミズを執拗に追い掛け回した記憶がすごくあって(笑)。ミミズで数字作るのが好きだったんですよ、“23”とか(笑)。『ちょっとだけ動かさせてね』って(笑)。生きてるからすぐ動いちゃうんで。あと、クワガタとかカブトムシとか飼ってたので」

-ミミズとか、虫とか平気だったんだ?

彩奈「カマキリとかダメですけどね。私、カマキリと20分間、にらみ合ったことがあるんですよ。家の前にいたんですよ。怖くてドア開けられなくて、家の前でずーっと、こーやって(竹達さん、化石化するポーズ)、20分間、にらめっこして。これ動いたら襲われるんじゃないかと思って(笑)」

-クワガタやカブトムシを撮る時は、第1話の楓ちゃんみたいに地面に突っ伏して…。

彩奈「いや、さすがにそれはないです(笑)」

-ないよね~(自爆)。で、今、持ってるカメラはデジタル一眼ということだけど?

彩奈「初めてのデジタル一眼です。(コンパクト)デジカメは、高校生の時、誕生日プレゼントでお父さんに買ってもらって、ずっとそれを使ってたんですが」

-デジタル一眼を買おうと思った理由は?

彩奈「背景をぼかすことに憧れてたからです」

-どこのカメラ?

彩奈「ソニーNEX………あれ、なんだっけ? NEX-3?」

-色はピンクかな? ホワイトかな?

彩奈「白だったか、シルバーだったか…そんな感じ(爆)。私、無頓着な人間なので~(笑)。カメラ女子とか、結構可愛いケースに入れてたりするじゃないですか、ストラップとかも可愛いの付けてたりするけど、私はフツーーーッのですから!(笑) 付属品の。もっとちゃんと写真が撮れるようになって、胸張って『私、カメラ女子ですっ!』って言えるようになったら、自分らしく飾ろうかなあって」

-今日の撮影では楓ちゃんと同じローライ35Sを一日中、持ち歩いてもらったけど、ローライ35Sの印象は?

彩奈「そうですね、相変わらず難しいなと。以前も使わせてもらったことがあるので、おぼろげながらも、(設定の仕方を)思い出しながら撮らさせてもらいました(表紙&巻頭撮影時、竹達さんの手にしたローライ35Sにはフィルムが装填してあった)。楓ちゃんはアニメの中でテキパキやってますけど、私は絞りとか、距離とかぜんぜんうまくできなくて、あんな難しいカメラを使いこなしてる楓ちゃんはすごいなって思います。よっぽど、お父さんと一緒に写真を撮ってたんだなって想像したら、胸キュンでした」

-今日の撮影、楽しみにしてたんだって?

彩奈「楽しみにしてました! 横須賀に行くのも、カレー食べられるのも、可愛い服着られるのも、可愛く撮ってもらうのも楽しみでした。遠足に行くような気分で…あ、お菓子持ってきたのに、なんにも食べなかった!(笑)」

-最後は雨に打たれながら撮影させられちゃったけど、それについて一言どうぞ(笑)。

彩奈「声優のレベルを超えたなと思いましたね!(笑)プロのモデルさんになったような気持ちで…。今まで、雨だったら、『じゃあ、室内で』みたいな感じが多かったので。グラビアに出てるタレントの方たちって、そういうの当たり前な感じでやってるんだって思うと…」

-いや…。

彩奈「え、違うんですか?」

-あんまりないですよ、雨の中でわざわざ撮るの。狙いでなければ。

彩奈「でも、燃えました! 負けねーって思いました(爆)」

-竹達さんは、明日(この撮影の翌日)は完全オフということだけど、オフには何をしてるの?

彩奈「台本のチェックとか、最近だとイベントで歌を歌ったりするので、振り付けの練習をしたりとか」

-家で一人でやるの?

彩奈「はい。練習用のDVDを観ながら一人でやります」

-「たまゆら~hitotose~」では、も発売されるとか。

彩奈「楓ちゃんのソロが1曲あって、さらに4人(竹達さんの他、阿澄佳奈さん、井口裕香さん、儀武ゆう子さん)で歌う曲だとか、あと“ももねこ音頭”(ももねこ=作品に登場するマスコット的存在の猫)とか、3曲ほど楓ちゃんで歌わせていただいてます」

-楓ちゃんのキャラクターで歌うんだよね?

彩奈「“ふわわわ~な雰囲気”で歌います(笑)」

-「たまゆら~hitotose~」の放送も、この本が発売される頃には、中盤に入っていると思うけど…。

彩奈「監督も『特に事件もなにもない日常を描いている作品です』とおっしゃっているので、たぶん後半も変わらず、のんびりいくんじゃないかと思います。だから、途中から観ても大丈夫ですよ。カメラ好きの方には特に観ていただきたいです。カメラや写真が好きっていう気持ちが、ぎゅぎゅっと作品に込められていて、きっと『あー、わかる、わかる!』って思っていただけるんじゃないかなあと。
監督がこの『たまゆら』という作品をすごく愛してるのが伝わって来るんですよね。だから、スタッフさんたちもこの作品をとても大切にしていて、演じる私たちも精一杯がんばろうって思える作品です。AT-X以外の放送は深夜帯なので、仕事から帰って、何も考えずにほわーっとした気持ちで観ていただけるといいと思います」



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