イメージ:第205回ザ・チョイス 松昭教さんの審査

デザイナーの松昭教さんによる審査が2017年10月25日に行われました。 応募人数は約200人、応募点数は約650点。その審査の模様と結果をレポートします。

デザイナーが持つ、瞬間的な判断

書籍の装丁、ブックデザインなどを手掛ける「bookwall」代表の松昭教さんによるザ・チョイスは、近年稀に見るスピード審査となりました。アートディレクターを務める小説誌『PONTOON』(幻冬舎)の装画コンペティションでも審査経験がある松さん。会場に到着後、「このぐらいの作品数であれば、予定より早く終わるかもしれません」と、ひと言。流れるように1次選考に入りました。

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予想以上のロケットスタートで、作品を並べるスタッフの手が間に合わないほど。デザイナーの方は審査が早い傾向にありますが、それにしても早い! 到着時とは別人のような鋭い眼光で、作品を次々と見極めていきます。そんな中、ピタリと松さんの手が止まる瞬間が時折訪れます。

「うーん、なるほどなるほど……、でもごめんなさい!」

「いいけど、これはあの人の絵に似ているからなぁ」

「迷うから、いったん残します!」

うなりながら自分に問いかけつつ、それでも素早く、残す作品と見送りにする作品に分けていきます。残った作品は全体の5分の1ほど。30分ほどの短時間でひと通り作品をジャッジしたため、このままもう1巡。暑くなった松さんはジャケットを脱いで、熱の入った審査を続けます。勢いを落とさぬまま、最終的な候補者20名が決定しました!

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そして、最終選考に残った作品の中から入選者と準入選者を選ぶ段階で、松さんがギアチェンジ。「いやー、ここからさらに大変ですね。もっとじっくり見なきゃ」と話しながら、一つひとつの作品に手を伸ばします。掲載の順番も含め丁寧に選びきり、1時間半ほどで松さんのザ・チョイスが終了しました。

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表現者でありながら、使える絵を描く

審査を終えた松昭教さんに、全体を通した感想を伺います。

「判断は早かったと思いますが、しっかり見ましたよ(笑)。一番の感想は、“なつかしい”ですね。デジタル作品が多いと思いきや、手法や質感が80年代に戻ってきているような印象で、時代が1回転していておもしろいと感じました。新しい道を模索しながら、かつてのよさのようなものをそれぞれが再発見しているのかもしれません」

また、作品を見極める上でのポイントを聞いてみました。

「普段は売り込みで絵を拝見する機会が多いのですが、単に“使える絵”になっていることがよくあります。それに比べて、ザ・チョイスはアート性の高い絵が多い。クセや勢いのある作品もよいと思いますが、残すか迷いました。自分の表現したいことをしつつ、それでいてエキセントリックとまではいかない。入選作品には、そんな装丁にも使えそうな作品がちゃんとありますね。また、既視感のある絵は外しました。ただ、イメージが似ていても構図や構成が見ていて飽きない場合や、“質感の勝利”という場合もあります。そのイラストレーションが仕事として使えるかどうか、という基準はやはりありますね」

書店に並ぶ数多の本の中から、読み手と書き手を一瞬で引き合わせるブックデザイン。そんなお仕事の中でイラストレーションが持つ役割についても考えさせられる回となりました。松昭教さんが選んだ入選作品と審査評は、2018年1月18日発売の『イラストレーション』(No.217)に掲載いたします。ぜひご覧下さい!

審査結果は、以下の通りです。

【入選】
田中慶次(北海道)
小山萌江(埼玉県)
しろこまたお(千葉県)
原田俊二(千葉県)
ミッキーオーソラン(栃木県)
永本浩之(群馬県)
島尻円(東京都)
矢野恵司(東京都)
福島一真(愛知県)
竹内みか(兵庫県)

【準入選】
長田結花、TOMIYOSHI、椎木彩子(東京都)
槙倫子(京都府)
坂口香南子、西村隆史(兵庫県)

【最終選考まで残った方々】
武井智子(埼玉県)
加藤正臣、しらいしののこ(千葉県)
あいざわりさ子(神奈川県)
大崎コウジ、早瀬とび、スズキヨシタカ(東京都)
三宅崇之(愛知県)


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