イメージ:第196回審査 川名潤さんの審査

デザイナー川名潤さんによる第196回ザ・チョイスの審査が8月5日に行われました。応募数は約320人、1000点。

今年の夏は暑い日が続きますが、この日も35度を超える猛暑でした。ほぼ定刻に白のシャツに短パンといういでたちで川名さんが到着。机に積まれた作品を見て「うわぁー大変そうだな」と第一声。

審査手順の説明の後、審査がスタートしました。じっくりと丁寧に作品を見て、一呼吸置いて「残します」「落としましょう」とジャッジしていく川名さん。時折「う〜ん」と悩むような仕草を見せるものの、あまり考え込むようなことはなく比較的コンスタントなペースで進んでいきます。

川名2

1時間半ほどですべての作品を見終えました。最初の方は残す作品と落とす作品が半々くらいのペースでしたが、半分ほど見たあたりから徐々に厳しくなり、一次審査後に残ったのは全体の1/3程度でしょうか。

一通り見終えたところで印象をお聞きしました。「全体にレベルは高いけど、“これイラスト?”みたいな、いい意味でとんでもない作品はなかったですね。あと、僕はライトノベルの仕事もやるんですが、ラノベ畑の“絵師系”の人がもっといてもいいと思ったけど、チョイスにはあまり出して来ないのかな」

コーヒーブレイクの間に、川名さんにいろいろお話を伺います。デザイナーの立場からザ・チョイスはずっと見てくださっていたそうで、「自分もそれで(絵を見る目を)鍛えられました」。

90年代中盤に「竹屋新聞」連載の中でヒロ杉山さんがやっていた「裏チョイス」にも話が及びました。当時はヒロさんの影響力は大きく、「表」のチョイスでもヒロさんの影響を受けた作品が多くなりました。「だんだん表と裏のチョイスの差がなくなって来て、その頃から(本来ないはずの)“チョイスっぽい” カラーみたいなものが出てきた気がします」

川名さんのところにも作品の売り込み・持ち込みがコンスタントに来るそうですが、最近はメールや郵送で作品を送ったり、作品が見られるURLを知らせて来る人が増えているとのこと。

「直接会いたいという人とはなるべく会うようにしていますが、近頃はあまり会ってもらえないという話も聞くし、その方がお互い気が楽かなとも思います。会うことによって(作品を酷評されたり)ダメージを受けることも多いので。それも含めていろいろ話を聞きたいというガッツがある人は、そうすればいい」

メールやDMの作品は必ず目を通し、面白いものはストックしておいて、何かあれば引っ張り出す。12年前にもらったメールから仕事を発注したこともあるとか。SNSで目にするイラストレーションもまめにチェックしているそうです。「僕のTwitterアカウントをフォローしてくれた人で、イラストレーターの方がいると逆探知して作品を見て、プロファイリングまでしています」

お仕事は100%出版関係だそうですが、装幀の仕事のうち文芸系は2割程度で、あとはエッセイや実用書、最近ではコミックも多くなっているとか。「文芸系の編集部では、装画を依頼するのにラノベ系といわゆるフツウのイラストレーターを分けては考えていなくて、漫画家も同じ土俵上で検討しています。むしろ絵を描く側の意識に垣根があるのかな、と思います」。ちなみに、ラノベの編集部はイラストレーターを探すのにPixivばかり見ているとのこと。

川名3

休憩後、二次審査に入ります。まだ残っている作品が多いので、もう1回一人ずつ順に見る形で作品を絞り込んでいきます。「ここから絞るのは大変だなー」と言いつつ、「次はちょっと厳しくします」という宣言どおり、落とされる作品が多くなります。

ここで、川名さんは独自の審査スタイルを開発。残すか落とすか迷った作品は、とりあえず机の端に置いたまま次の作品を見ていきます。いろいろな作品を見ながら流れの中でジャッジするわけです。似た傾向の作品が出て来れば比較検討することも可能です。欠点は「保留」の作品がだんだん溜まって来ることで、机の上が一杯になると保留作品のジャッジをしてスペースを空ける、という感じで進んでいきました。

30分ほどで二次審査が終了。数的にはだいぶ絞られたのですが、比較的サイズの大きな作品が多いこともあり、まだ全部机に載りきれないので、机に並べられるだけ並べてもう少し絞り込むことに。川名さんは机の周囲を歩きながら各応募者の作品を手にとって眺め、その中で一番よいと思う作品を上にして机に戻します。そして少しずつ、要らないと判断したものを外して、そこに次の作品を並べていきます。

この作業を繰り返すことで作品は徐々に絞られ、残ったすべての作品が机に並びました。どこからを最終審査とするかという判断がそろそろ必要ですが、川名さんはまだ絞り込みたいようです。さらに数人の作品を外し、机の上の作品は30人以下になりました。そして入選と判断した作品数点を別に寄せたところで、「ここからは全員お名前が載ることにしましょう」と最終審査の宣言がありました。

川名4

ここからは、まず準入選を選び次に入選を選ぶという順番で作品をピックアップしつつ、同時に選ばないと決めたものは外していきます。あと少しで選び終わる、という段階で、入選・準入選作品の入れ替えを何度か行いました。数の上で入選10名、準入選6名を選び終わったところで、いったん落とした最終選考対象作品を再度机に並べ、今一度入れ替えの検討を行い、入選・準入選が確定しました。審査結果は下記の通りです。

入選▼

●ミッキーオーソラン(栃木県)●西山寛紀(東京都)●川井一馬(大阪府)●ケント・マエダヴィッチ(兵庫県)●川島慎平(東京都)●仲里秀樹(東京都)●横山雄(東京都)●吉村宗浩(兵庫県)●太田遥香(三重県)●小山萌江(埼玉県)

準入選▼

●原けい(東京都)●南景太(岐阜県)●楓真知子(東京都)●鴇田みよこ(神奈川県)●時松はるな(千葉県)●くらちなつき(東京都)

川名さんによれば、これまでもチョイスの結果が出るタイミングで作品ファイルを送ってくれる方が多かったそうです。入選や準入選がきっかけで自信をつけて、売り込みに励む人が多いということですね。

入選・準入選作品と川名さんの講評は10月17日のイラストレーションNo.208に掲載いたします。お楽しみに。


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