イメージ:第203回 アルビレオさんの審査

第203回ザ・チョイスの審査が5月17日に行われました。審査員はデザイナー西村真紀子さんと草苅睦子さんのユニット、アルビレオ。応募者数は約300人、作品数は約1000点。一人で審査を行うのがザ・チョイスの大きな特徴ですが、例外的にユニットによる審査が過去数回ありました。タイクーングラフィックス(2000年)、groovisions(2001年)、TUGBOAT(2003年)、そしてD-Bros(現KIGI、2005年)以来となります。さて、どんな審査になるのでしょうか。

阿吽の呼吸でジャッジしていく

午後2時少し前にアルビレオのお二人が来社。実はその前に山脇ギャラリーで開催中のザ・チョイス大賞展を見て来られたそうです。

まずスタッフから審査手順の説明があり、定刻通りに審査開始です。

向かって左側に草苅さん、右側に西村さんが座り、目の前に並べられる作品をそれぞれ手に取りながら、言葉を交わしつつ見てしていきます。

阿吽の呼吸と言うのでしょうか、互いが頷くとジャッジ終了。「これは残してください」「(片付けても)大丈夫です」と伝えるのは主に草苅さんで、これは見終えた作品を受け取るスタッフに近い位置にいるからでしょう。

二人で相談しながらなのでゆっくりしたペースになると思いきや、ほとんど会話もなく数秒で決まることもあって、審査ペースとしては特に遅くも速くもない印象です。

やはりいい作品、気になる作品のときは自然と言葉が出て来て、あまり言葉が出て来ないときは落とされる傾向です。

スタート時点では座って作品を見ていたお二人ですが、いつの間にか立ち上がっての審査になりました。

レポート2

審査開始から1時間半弱で全ての作品を見終えました。

2次審査に残ったのは全体の1/4強くらいでしょうか。割合絞り込んでチョイスした印象です。

仕事で使いたい絵を選ぶ

ここで休憩。喫茶店から出前した飲み物を飲みつつ、お話を伺います。まずは一通り作品を見た感想から。

「絵というのはコレといった正解がないし、センスで選ぶか技術で選ぶかといった基準の設定が難しいので、西村とあらかじめ今回の審査では、今後仕事をさせて頂きたいかどうかで選ぼうと決めていました。なので、判断で迷うことはそれほどありませんでした」(草苅さん)

「最近はマンガ的なイラストレーションが増えていて、私たちも仕事ではよく使うのですが、そういう作品はあまりなかったですね。バランスよくいろいろなタッチの絵があるなと思いました。あと、デジタル作品での応募は少ないですよね。(コンペでは)原画のほうが有利というのは感じます。普段ネットで見ている人の絵も、原画を見ると迫力ありますし」(西村さん)

呼吸の合った審査ぶりですが、仕事で絵を選ぶ際に意見が合わないことはあるのでしょうか。

「二人で判断の基準が食い違うことは本当に少なくて、ずっと一緒にやれている理由はそこでしょうか」(草苅さん)

「普段から(実用、ノンフィクション、小説など)色々なジャンルの仕事に繋がる絵を探しているので、そこは“画家として素晴らしい絵”というのとは少し基準が違います」(西村さん)

草苅さんは、大学卒業後は大勢のスタッフを抱えるデザイン会社で主に雑誌の仕事をしていましたが、書籍のデザインをやりたい気持ちが次第に高まっていったそうです。

西村さんは関西出身で、大学卒業後は地元のデザイン会社で店舗のロゴマークなどのデザインをしていました。ムック本のデザインを手がけたのがきっかけで本の仕事がしたいと思い、装幀メインの事務所は東京にしかないと上京を決心しました。お二人はそれぞれ鈴木成一デザイン室に入社、同僚として勤務したのち、2008年にアルビレオを設立します。

設立から間もなく10年、ケンカらしいケンカはしたことがないというお二人。大体のデザインの方向性さえ決まれば、あとで意見がぶつかることはないし、最初の段階で考えがズレることもあまりないそうです。仕上げの仕方やテイストはそれぞれ多少異なるとのこと。

「こうしたほうがいい」は使う側の都合

さて、審査再開です。

まだ少し数が多いので、もう一度目の前に絵を並べていく方式で審査を行います。「(入選は)コレかな、というのがいくつかあります」(草苅さん)ということで、確実に残す作品と、残さない作品、残すか迷った作品(もう1回見る)の3つに分けていきます。

一度見ているためか、1次審査よりもジャッジのスピードがアップしました。残す際に一番良かった作品を上にしておいたのも功奏しているかもしれません。

レポート3

15分ほどで2次審査が終了。かなり絞られましたが、迷ったら残しておく方針で、「迷う」に分けられた作品もやや多い印象です。

ここで「確実に残す」にした作品を数えます。1、2、3…なんと、ぴったり10人分です。これを机に広げて並べ、検証します。

ざっと見渡して頷くお二人、これで入選10名が決定しました。そこから点数の絞り込みを行います。

次に、迷った作品を机に並べ、準入選6人を絞り込みます。ここでもお二人の意見が違うことはなく、スムーズに選ばれていきます。5人まではすぐに決まり、残り1枠を数名の候補から選んで全てが決まりました。それを再度確認して、開始から2時間半ほどで審査が終了しました。

審査結果は以下のとおりです。

入選

●高杉千明(千葉県)●澁澤久実子(千葉県)●原田俊二(千葉県)

●庄野紘子(東京都)●田辺俊輔(東京都)●ササキエイコ(東京都)

●杉山真依子(東京都)●玉村聡之(大阪府)●石原一博(大阪府)

●タムラヨウイチ(北海道)

準入選

●ミヤザキコウヘイ(埼玉県)●しらいしののこ(千葉県)●春日井さゆり(東京都)●すぎもりえり(東京都)●ムラサキユリエ(東京都)●桑江木綿(沖縄県)

最終選考まで残った人々

こたに千絵、加藤正臣(千葉県)、三好愛、かわいちともこ、梅津彩、杉野陽平(神奈川県)とつかちえ、しまだたかひろ、アヤコオチ、坂之上正久、前田泰子、高丸優夏、楓真知子、三田圭介、野田奈津実、藤岡詩織、木原未沙紀(東京都)、大橋由起子、ミズノマサミ(愛知県)、南景太(岐阜県)、高橋元太(大阪府)

審査を終えた感想をお二人に伺いました。

「絵からすごくパワーを浴びるので消耗しました」(草苅さん)

「こっちも頑張らなきゃ、という気持ちにさせられますね」(西村さん)

「書店映えを考慮したり(笑)、それは私たちの都合。やっぱり描きたい絵を描くことが良い絵に繋がるので、我々も絵をお願いする際はそんな気持ちで描いて頂ける様、オーダーすべきだと思います」(西村さん)

「これまでの仕事で、こちらが想いもよらなかった視点でその本の可能性を広げてくれるイラストレーションに何度も出合ってきました。今回選ばせて頂いた方々とも、ぜひ楽しくお仕事をご一緒できたら嬉しいです」(草苅)

入選作品とアルビレオの審査評は、7月18日発売のイラストレーションNo.215に掲載いたします。お楽しみに!


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